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メッツ千賀滉大、メジャーでも通用「お化けフォーク」

スポーツライター 杉浦大介

今季からニューヨーク・メッツに加わった千賀滉大投手が開幕からメジャーリーグのマウンドで好調なスタートを切っている。

メジャー初登板となった4月2日のマイアミ・マーリンズ戦では5回1/3を3安打1失点に抑えてメジャー初勝利。続く8日のマーリンズ戦でも6回3安打1失点6三振で初めてのクオリティースタート(6回以上を投げて3失点以内)を記録し、2勝目を手にした。

14日のオークランド・アスレチックス戦では4回2/3を4失点で惜しくも3連勝を逃したものの、この3試合で合計16イニングを投げて21奪三振。メッツの主砲ピート・アロンソは8日のゲーム後、「今夜の彼はえげつなかった。最初の先発でもそうだった。このまま素晴らしいことをやり続けてほしい」と目を細めていたが、実際に千賀は幸先いい滑り出しを切ったといっていい。

ここまでの成功の原動力となっているのが自慢の決め球「ゴーストフォーク(お化けフォーク)」であることは間違いない。初登板で奪った8三振はすべてフォークで奪ったもの。その後もこのフォークこそが、相手打線に常に警戒を促す生命線のボールとなっている感がある。

「千賀のフォークボールが効果的な理由は、球速が速いことと、落ちる幅が大きいこと。そして、彼は98マイル(約158キロ)の速球を投げられることも大きい。すべては真っ直ぐが基盤になり、特別な球になっている」

メッツのジェレミー・ヘフナー投手コーチがそう述べていた通り、最大落差104センチを誇るフォークを160キロ近くの豪速球と合わせて使うことで、より効果的な武器になっているのだろう。

千賀自身は「真っ直ぐとフォークだけにならないように」と繰り返し話し、スライダー、カッターといった他の球種も投球に織り込む努力を続けている。その向上心はライバルチームにとっても脅威。今の「ゴーストフォーク」の切れ味が続く限り、少なくとも相手打者が慣れるまではハイレベルのパフォーマンスが続きそうな気配だ。

最高のスタートを切った日本人エースをチーム、ファンもサポートしている。8日、入場券が完売したスタジアムのジャンボトロンには、千賀が三振を取るたびにお化けのキャラクターが映し出された。また、左中間のファンはお化けのイラストボードを左翼席の手すりに掲げ、かつての野茂英雄さんの"Kボード"のように三振を取るたびに増やしていった。

「最初はびっくりしましたけど、名前、イメージがつくということは選手としてなかなかないと思うので、本当にありがたいなと嬉しい気持ちです」

千賀も表情を崩したが、嬉しいのはチームのマーケティング部門も同じだろう。急激に浸透するゴーストフォークのキャラクターをメッツが商品化させる日も近いかもしれない。最高に近い形でメジャーキャリアをスタートさせた背番号34は、早くもニューヨークの主役の一人に躍り出ようとしている。

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